4月例会(幼~小1):おれはママじゃない!

2015年4月25日(土)、町田市民ホール第4会議室にて、4月幼児例会を行いました。

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開演前。賑やかです♪

人形劇団プークによる『おれはママじゃない!/プー吉・チビのミニミニ劇場』です。

井上幸子さんをお招きした事前の集いから1ヶ月、楽しみに待っていました!

まずは『プー吉・チビのミニミニ劇場』。全体的にどことなくレトロで、初めて観るのに懐かしい感じがします。

プークのシンボルキャラクター、“プー吉とチビ”が大活躍するオープニング劇と傘踊り、動きがユーモラスで可笑しいショジョ寺のタヌキ囃子、車人形による南京玉すだれ、バラエティー豊かな人形が次から次と登場し、短いながら見応えのある贅沢な作品だなぁと思いました。

特に、車人形による南京玉すだれはおもしろかったですね!片手遣いの人形を逆さまにすると別のキャラクターに早変わりするのですが、4匹のキャラクターを一人で演じ分ける役者さんも見事でした。

次の作品は『おれはママじゃない!』。いったんミニミニ劇場が終わっても幕は下ろさず、そのまま役者さんが前でお話をしながら同時進行で他の役者さんが後ろでセット変えをするので、自然な感じで話の世界に移行できます。

現実には「食う・食われる」の関係の異種が仲良しになるというわりとよくあるパターンの話ですが(スミマセン!)、「ママ ママ」とまとわりつくヒヨコさんとそれをうっとうしがるワニさん、その二人が次第にうちとけていく様子にほのぼのとした愛を感じる素敵な作品でした。

「こんなところでねむっちゃだめだよ。おまえはちいさくてかわいくておいしそうで、つまりあぶないんだよ。おれだってたべちゃいたいくらいだ。」

ワニさんのせりふについ胸がきゅーん(ワニさんの声がまた素敵でしたね~)。

「ママのここ、いいおとがする」って、ワニさんの心音を聴きながらひよこさんが眠りにつくシーンに私も心が穏やかになりました。

客席と舞台の密着した距離感も良く、目の前でその場でしか観られない生の声と演出(改めてほんと贅沢ですネ……)に、心もすっかり魅了されてしまいました。また、どの作品も人形遣いが黒子というより、舞台上でまさに「役者」として人形同様に演じていて、役者さんの個性と人形の役柄のコンビネーションが絶妙でした。img026

ちなみに、「おれはママじゃない!」の原作になった絵本はこちら。パステル調のやわらかな絵が素敵です。ユーモラスで表情豊かなワニさんが魅力的。残念ながら絶版のようです。

小2以上4月例会:ベッカンコおに

2015年4月18日(土)ひなた村カリヨンホールにて、小2以上の4月例会を行いました。    劇団なんじゃもんじゃによる『ベッカンコおに』です。150418_1338~01

なんじゃもんじゃは、西尾瞬三さんと西尾夏子さんのご夫婦2人で1993年に岐阜県福岡町で旗揚げされ、今年で23周年目を迎える劇団。町田とは、2008年1月例会「きずだらけのリンゴ」以来の再会です。

響きのおもしろい「なんじゃもんじゃ」という名前の由来は、地元に自生する樹齢200年近い「ナンジャモンジャの木」のからとのこと(写真に映っているパネルの木)。

ちなみに、ナンジャモンジャとは、見慣れない立派な植物、怪木や珍木に対して地元の人々が付ける愛称で、特定の植物の種名ではありませんが、ヒトツバタゴを指すことが多いようです。毎年5月頃、雪のような白い花を咲かせるそうですよ。

さて、舞台の内容は……

滑稽なベッカンコ顔だからと笑いものにされる心優しい鬼と盲目ゆえに村の子どもたちからいじめられる里の娘ユキ、そしてユキの父親。三者三様の愛の形がいつしか鬼に変わっていく悲劇を描いています。

周りから差別され続けていた孤独な者同士のベッカンコおにとユキ、2人が出会いやがて愛し合います。 しかし娘が鬼にさらわれたとユキを一生懸命探すお父は、ユキの目を治す竜眼草を採ってきたベッカンコおにを敵だと思い、鉄砲で撃ち殺してしまいます。 ラスト、目が見えるようになったユキは、自分の腕の中で息を引き取るベッカンコおにを看取ると、人間への憎しみから、鬼に変身してしまいます。

“鬼って一体どこにいる 人の中に鬼はいる 人も鬼になれる あなたは人か鬼か わたしは人か鬼か 鬼っていったいどこにいる”

誰も悪くないのに……やるせない切ない思いが残る、とても考えさせられる内容でした。

たったふたりで、おにの面とゆきの人形(乙女文楽でしたね)を使い分けながら 、お父、山カカ様、せみ(笑)、コロス(※)etc……何役もやっていて、それでいてせわしなさや違和感を感じさせないのが見事でしたね!狂言を取り入れたようなゆったりした動きや、しの笛の音色、能舞台を思わせるような素朴な舞台空間、現代劇でありながら、日本の伝統芸能の様式美を感じました。子どもは、ユキが恐ろしい鬼の面をつけ白装束で舞うところが怖かったそうです。

※コロス(koros)とは、古代ギリシャ劇に出てくる合唱隊のこと。コロスは、観客の観賞の助けとなるよう、劇の背景を要約したり、主要登場人物が劇中語れなかったこと(たとえば恐怖、秘密とか)を登場人物に代わって代弁したりなど、劇を進行する役割を持ちます。

 

終わった後は、西尾夏子さんが舞台や劇に関する素朴な疑問や質問に ひとつひとつ丁寧に答えてくれました。どのような質問が出たかというと……

質問1:「風鈴はどうやって鳴らしてたのですか?」                                                      質問2:「最後、舞台の背景が赤くなったのはどうしてですか?」                                             質問3:「どうしてゆきは生身の人間でなく人形で演じることにしたのですか?」                               質問4:「人形はどうやって動かしているのですか?」

この答えは……、サークル会で観た方に聞いてみてくださいね(笑)。yukikonkon

 

最後に、舞台でも話がありましたが、原作本の紹介を。さねとうあきら・作 井上洋介・絵(理論社)。2006年に復刻されたようです。

「ベッカンコおに」の他にも「ゆきんこ十二郎」「おにひめさま」の、合わせて3つの物語が収められています。3編とも人間の娘が異界のものと出会う話です。