12月例会 青年劇場『あの夏の絵』

12月4日(金)、小学4年生以上を対象とした青年劇場による『あの夏の絵』を開催しました。会員のみなさんにご協力いただきながらの感染防止対策に加え、空間を広くとるために場所を町田市民ホールに変更して行いました。

作品は、広島市立基町高校で実際に行われている「原爆の絵」の取り組みが題材となっています。この取り組みは、原爆の体験をしたことのない高校生が、被爆者の体験を半年かけて聴き、現地や史料の取材を重ね、被爆者の人生をも受け止めて原爆の絵を完成させるという、大変な労力を伴う活動です。

町田子ども劇場では、11月に、事前に脚本の福山啓子さんの講演会を開催しました。福山さんは、広島の基町高校を取材したときに目にした高校生たちの姿を始め、脚本を作り上げるまでの道のり、作品に込めた思いまで、丁寧にお話してくださいました。基町高校の生徒たちが実際に描いた絵も、スライドで見せてくれました。絵の完成度の高さは息をのむほどでした。高校生と被爆者の方の絆と、「記憶を伝えていかなければ消えてしまう。今、私たちが伝えなければ。」という高校生の真剣な思いが伝わってきます。この講演会を経て作品への理解と期待が高まる中で、当日を迎えることができました。

静かな口調で、丁寧にお話をしてくださった福山啓子さん

お芝居では、広島の美術部の三人の高校生が、被爆者の方々から体験を聞き絵に表現していくことを、自分で決めてそれを最後まで描き上げていく過程を丁寧に描いていました。三人のそれぞれの立場で感じる真摯な言葉、特に東京から父親の転勤でやってきた原爆や戦争のことを全然知らない子の存在によって、観ている私達を無理なく物語の中へと引きこんでくれました。

公演後には、実際に高校生たちが描いた絵のレプリカ6枚がロビーに飾られました。みんな食い入るように見つめていました。

 

後日、子どもたちはもちろん大人からもいつになくたくさんの感想が寄せられました。観て誰かと語りたくなる作品なんですね。子ども劇場では感想を語りあい、また新たな発見があることも作品を観る延長となっています。

素晴らしい作品を上演していただくことができたことは本当にありがたいことです。青年劇場の皆様、どうもありがとうございました。


子ども達の感想を一部紹介します。

3人がいっしょうけんめい絵をかいているところが、すごいなと思いました。ぼくも絵をかくのがすきなので、すごくいい話だなと思いました。(9才)

最初一人の子が、やると言い始めて、話を聞いてもやりたがらなかった子をなんとか説得して、みんなで楽しみながら、楽しく絵を描いているのがいい。こわいけど、がんばりたいと思う気持ちは、私も同じです。(12才)

広島は、げんばくですごく大変だったことが絵から伝わってきます。高校生でよくこんな絵がかけるなと思います。(12才)

戦争への考え方や、戦争の絵を描いた高校生の思いを知ることができてとても自分のためになりました。ぼくも他の人に伝えてあげたいです。(12才)